ZEB Ready
地域を象徴する役場・公民館の機能においては、特に愛着と誇りをどのように醸成することができるのかについて何度も思考を重ねました。
また行きたいと思ってもらえるような建物とすることは、村民の様々な活動拠点として活力を育む地域の中心的な場として重要と考えたからです。このプロジェクトに携わる設計者として外から来た私たちだからこそ、川上村にしかない魅力的な風土性を強烈に感じました。
川上村を特徴づける風土から、コンテクストを読み解き、デザインのモチーフとすることで、村民にとって愛着の持てる空間となることを目指しました。
【デザインのモチーフ】
1:カラマツと「村有林交換プロジェクト」・・・先人たちが守り続けてきたカラマツ林の風景を継承・象徴するものとして、天井をはじめとする各所の仕上げに川上村産カラマツを使用。また、「村有林交換プロジェクト」による根羽村スギ・大桑村ヒノキ・川上村カラマツの「三木」を村民ホールや村長室などに活用しました。
2:千曲川の源流=波紋、千曲(うねり)・・・日本最長河川である千曲川の源流は川上村に位置しています。ここから「波紋」と「千曲」のモチーフを抽出し、「文化の源泉」「発信」「躍動」「影響力」などの想いを形にしました。
3:星空=宇宙、銀河・・・宇宙飛行士油井亀美也氏の故郷として知られる川上村は、類を見ないほど星空が美しい場所です。ここから「宇宙」「銀河」のモチーフを抽出し、主に村民活動の象徴となる村民ホールの天井に「多様性」「無限の可能性」を形にしました。
4:レタス=幾重・・・川上村は標高1000m以上に位置し高原の気候が特徴で、豊かな水・豊潤な大地に恵まれ、レタスの生産量は日本一です。レタスから「幾重」のモチーフを抽出し、「前途有望」「共生」の想いを形にしました。
また、本建物は低酸素社会への取り組みとして「ZEB Ready」を達成し、BELS 認証を取得しています。地中熱利用や太陽光発電など自然エネルギーも積極的に活用した設備計画としています。